山座同定


 近くの松の内公園の馬の背遊歩道は「関東の富士見百景」に指定されている。西側が開けていて、ほぼ正面に富士山、南に箱根、北に丹沢が見え、その北に関東山地の山々が望める。 2015年2月に撮った写真は既に秋明記に載せてある。最近、国土交通省の「関東の富士見百景」のページの中に「松の内公園の馬の背遊歩道」を調べたところ、「南アルプスの聖岳や、赤石岳」が馬の背遊歩道から見えると書いてあった。そこで、2015年2月の写真をよく見直してまた。また、私たちの山行きのリーダーのM君にも意見を求めた。写真をとった日は大変よく晴れていたので、もし南アルプスの山が見えるとするなら、きっと写っているはずだと思ったのである。そこで、手前に見える山の名前を一つずつ確かめていこうと思った。
 「山座同定」というんだそうだ。日本国語大辞典には載っていない言葉である。Wikipediaによると、「山座同定(さんざどうてい)とは、展望できる山の名称を地図(地形図)や方位磁針などの使用によって明らかとすること。」だそうだ。元々は登山用語だったという。ただ、富士山や、箱根の二子山、神山、金時山、大山などはすぐ分るが、その先は難しい。「山座同定」用のプログラムも開発されているようだが、私のパソコンで簡単に使えるものはないようだ。そこで、「google map」、国土地理院の「ウォッちず」、をたよりに、写真と較べ合わせて試案を作るのだが、なかなか納得できるものまでは至らなかった。金峰山辺りから東に延びる関東山地の山は同定が難しい。
 何かてはないか、と考えて思い当たったのが、近くの建造物の同定をしようということだった。近間なら自転車ででも回れば同定可能かと思ったのだが、結構大変そうだ。google mapのストリートビューは近くの建物に視界を奪われてなかなか写真との比較が難しい。そもそも、その建物のある場所がどこかも確定が難しい。google earthを使えば、鳥瞰図が得られる。撮影地点から目を付けた建物の方角に進んで行くと、写真に写っている建造物が確認できる。このようにして、「子供医療センター」「南中高等学校」「武相山小学校」「シティークレスト横浜上永谷」東戸塚駅周辺の高層ビル群が同定できた。また、赤白ダンダラの3本の鉄塔は大きく写っている2本が東京電力東京南線3、4の86、87番鉄塔、その左のちょっと小さ目(遠い)のものが、弥生台にある京浜変電所の鉄塔だと確認できた。この結果を地図に落としたのが次の2枚である。



 山の方向はほぼ特定できた。ただ松の内公園から見えるかどうかになると、場所によっては山並みが2列3列になっているので断言は難しいものもある。まあこんなところかなという試案を示しておく。
 まずは、丹沢の北端から金峰山にかけて。金峰山はこの写真の範囲外である。経ヶ岳と仏果山の間に見えるのは笹子あたりの山であろうか。
 この視野の中に現れる近間の建造物は、「港南ゴルフクラブ」「上永谷のビル群」である。松の内公園から見た建物の位置と山の方向を記載した地図を載せておこう。なお、これらの建物を特定するのに用いたGoogle Earth の画像も載せておこう。


 次にその東側、金峰山から雲取山にかけて。金峰山、国師岳方面は雲に覆われてはっきりしない。この部分については別の写真をあとで示そう。
 この視野に現れるのは、「京浜変電所鉄塔」「東京南線86、87番鉄塔」「相武台小学校」「南中高等学校」である。86番鉄塔の先に国師岳が見えるはずであるが、雲に隠れている。相武山小学校の西は時の先に、甲武信岳があるが、その前方に三頭山があり、ほとんど隠されている。
 


 先日、よく晴れた日に、もう一度写真を撮った。今回は、電子倍率込みで30倍のズームで撮影した。左端のぽこっと飛び出した頂が金峰山、正面の少し雲に隠れているのが国師岳だと思われる。


 この東側には、東戸塚のビル群の彼方に、大岳山、酉谷山、川乗山などがあるが、山並みが重なっているので、実際にどの山が見えているのかは現時点では判定できない。その方向というくらいに理解してもらいたい。その東、こども医療センターの西側には武甲山付近の山が見える。


   丹沢方面はほぼ同定できた。



 南アルプスに関しては「松の内公園からは見えない」という結論に達したが、その理由は別の地点から撮った南アルプスの写真とともに、別ページで説明しよう。(20190130)



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