クレクリンゲンCreglingen) - ローテンベルク(Rothenburg) - インゴルシュタット(Ingorstadt)     6月4日       地図(Map)

    
 宿泊:Hotel Pius

 この日は移動日である。スーツケースにすべてをつめて引いて歩かなければならない。リーメンシュナイダーの透かし彫りの祭壇をほぼ製作当時のままの状態で見ることができるというクレクリンゲンのヘルゴット教会はぜひ見ておきたいが、交通の便が大変悪いらしい。地球の歩き方によると、ロマンチック街道の観光に最適なヨーロッパバスは教会の前まで行かなくなってしまったらしいし、ローテンブルクからのバスは直通はなく2回の乗り換えが必要だと書いてある。しかし、5年ほど前にクレクリンゲンに行って来た妻は、「直通のバスはある。ただし本数は少ない。」妻が出かけたのはシーズン前だったので、インフォメーションも閉まっていて、タクシーを頼むのも大変だったらしい。ただ、私はヴュルツブルグからのコースをとるし、シーズン前といってももう6月だし、状況はもう少しいいのではないかと思い、バスの時間を調べた。
 ヴュルツブルグからクレクリンゲンのコースをドイツ国鉄(DB)のサイトで検索すると、1回乗り換え、2回乗り換え、3回乗り換えなどいろいろのコースが出てくる。朝9時前に出発することにして時間表を調べると、「ヴュルツブルク中央駅8時37分発、ラウダまで快速で行き、乗り換えてヴァイカースハイム着9時38分、10時発のバスに乗り換えクレクリンゲン10時25分着。」という願ってもない時刻表が現れた。ただし、RFB8088のあとに書いてあるドイツ語がくせ者だったらしい。それはあとで分かる。
 次にクレクリンゲンからローテンブルクのバスも調べる。検索は「from Creglingen to Rothenburg bus」である。"http://www.omnibus-pflueger.de/fahrplan/vrn_49980__s04.pdf"というサイトにヒットした。平日の関係ありそうなところを示した。時刻表にはヴァイカースハイムからクレクリンゲンの部分も載っていたのでその部分も含めて載せておく。sは学校のある日に運行、fは学校が休みの日に運行の意味である。この時刻表を見るとヴァイカースハイム10時発のバスは載っていない。きっと運行会社が違うのだろう程度に考えていた。ローテンブルクに行くにはクレクリンゲン13時43分発のバスが都合が良い。これで決まり、と計画を立てた。

【クレクリンゲン Creglingen】
 列車の旅は順調で定刻にヴァイカースハイムについた。駅前には確かにバスターミナルらしきものがあって、行く先を小さく書いたポールが立っている。しかし、時刻表がどこにもない。駅に戻って、たった一人の英語があまり通じない駅員に「クレクリンゲンに行きたいのだが、10時のバスはどこで待てばよいのか。」と訊くと時刻表を調べて、「そのバスは確かにある。だが、1時間前までに予約しなと走らない。誰かが予約していれば来るかもしれないから一応待ってみろ。それが来なかったら、11時4分にスクールバスがある。」「スクールバスに乗れるのか」と訊くと乗れるという返事である。それ以上の情報は得られないので、一応10時のバスを待つが、思った通り来ない。仕方がないので、10分ほど歩いて町のインフォメーションに行ってみる。英語が全然通じない! 手振り、身振り、字を書いたり、地図を見せたり。バスについての情報はまったくつかめない。最悪のときはタクシーと思い、タクシー会社の電話番号は訊いたが、電話も英語では通じないだろう。バスターミナルに戻る。
 11時15分前ほどになると、授業が終わったらしい小学生が8人ほどやって来た。スクールバスは来るらしい。なんとか乗せてもらえれば、クレクリンゲンには行けるだろう。11時少し過ぎにバスが来たときはほっとした。学校の終了時間に合わせて運行しているバスで、小学生以外も乗って構わないらしい。小学生以外の客は私一人だった。(このバスも時刻表には乗っていない。)
 20分ほどでクレクリンゲンについた。バスを降りて最初にしたことはローテンブルグへのバスの時刻の確認。13時43分発のバスは黄色く塗ってある。さっきヴァイカースハイムの駅で見せてもらった10時発のバスも黄色く塗られていたような気がする。リーメンシュナイダーを見てなるべく早く帰って来て、速いバスに乗れるならそのバスで行こう。なかったら、「仕方ない、タクシー」と腹を決める。
 バスに寄りかかって話をしていた二人が声をかけて来た。「どこへ行く?ホテルか?教会か?」「教会に行く。」「それならこのバスに乗れ。」旅行案内書にはそんなバスがあることは書いてなかった。1キロ強スーツケースを引っ張って歩くしかないと思っていた。バスに乗り込むとすぐ出発。教会は次の停留所だった。「いくら」と訊くと、「いいから、いいから」といって、結局ただだった。「帰りのバスはいつ来る?」と訊くと、25分後の12時5分とのこと。その次は12時50分頃という。

 小さな教会だし、見るものはほとんどリーメンシュナイダー(Riemenschneider)の祭壇だけだから、教会の中に20分いれば一応の目的は達成できる。
 この教会は初めカトリックの教会として建てられ、リーメンシュナイダーが祭壇を作ったが、間もなくプロテスタントの境界になり、祭壇は不要だからと解体されて倉庫にしまわれた。再発見されたのは1823年。保存状態が良かったので、製作当初の形を奇跡的に保っているという。それにしても細かな細工の祭壇である。マリアの表情もいい。無理をして来てよかったと思った。マリアの拡大写真は絵葉書の写真を載せておく。ほかの祭壇もあった。(写真下段)教会で手に入れた英語の説明パンフレットも載せておこう。

  
 12時頃教会を出てバスを待つ。さっきの運転手さんのバスが戻って来た。料金はと訊いたが、要らないと言われ、またただだった。ローテンブルグに行きたいのだがというと、親切にほかのバスの運転手さんに訊いてくれて、「このバスだ。」乗ると間もなく出発した。12時15分のバスだったのだろう。(おそらく、13時43分のバスはあったと思うが、不安を抱えて待つよりはともかく先に進めればよいといった感じだった。)
 
【ローテンブルク Rothenburg】
 ローテンブルクには1991年に来ている。そのときはパリの学会前に、フランクフルトからロマンティック街道を南下しフュッセンまで行き、その後シュヴァルツヴァルトを経てフランスに入った。レンタカーの旅だった。ヴュルツブルクも通ったが、町の入口付近で小休止しただけだったから、ヴュルツブルクについては今回が初めてだったといってよい。ローテンブルクには1泊し城壁も歩いたから、今回は時間もないしパス、と決めていた。ところが、バスが1時間半も早くなった。それならローテンブルクの聖ヤコブ教会のリーメンシュナイダーも見て行こうという気になった。
 ここのリーメンシュナイダー(Riemenschneider)もすばらしかった。この祭壇は2階にある。祭壇前のスペースは狭いから、日曜の礼拝式に使われることはないのではないかと思った。ヘルゴット教会の祭壇のように取り壊されて保存されたということはなかったようだ。最後の晩餐の画面であるから、プロテスタント教会でも受け入れやすかったのであろうか。この教会も初めはカトリックの教会として建てられたが、後にプロテスタントの教会になった。リーメンシュナイダーの祭壇の写真とともに、正ヤコボ教会一階の祭壇の写真も示しておく。



 

【インゴルシュタットへ   to Ingorstadt】
 ローテンブルクは丘の上の町で、しかも道は石畳。スーツケースを引いての歩行は結構大変だった。おまけに気をつけていたつもりなのに方向を間違え、駅から遠い門から出てしまった。城壁を横目に見ながら駅に向かう。予定より1時間早い列車に乗れるかと思ったが、駅前の信号がなかなか変わらず、駅についたら目の前でドアが閉まり、列車は出て行ってしまった。1時間の待ち時間。町に戻るには短すぎる。結局駅で待つことになる。まあ予定通りの時間だ。
 ローテンブルクから15分ほどのシュタイナッハで乗り換え。ここまでは順調。ところが乗り換えた列車がトゥロイヒトリンゲンまでに15分ほど遅れ接続列車が先に出てしまった。また1時間の待ち。乗り換えた列車がまた遅れ、インゴルシュタットについたのは予定より1時間20分ほど遅れた。唯一よかったのは、途中で大雨だったのがインゴルシュタットについたときは降っていなかったこと。でも、ホテルは結構遠かった。ホテルにつく頃には傘をさす程度の雨になっていた。
 元々この町に泊まるつもりはなかった。ミュンヘン2泊にしたかったのだ。しかし、見本市かなにかイヴェントが始まるらしく、ミュンヘンのホテルは通常の2倍3倍の値段になっていた。先日泊まったベストウェスタンホテルは1泊3万円近かった。そこで、ミュンヘンの郊外の町を探したのである。
 今回は泊まるだけで観光はしなかったが、この町について2、3書いておこう。
  1.  バイエルン州で6番目の大都市(大都市の条件は人口10万人以上)。
  2.  ミュンヘンの南75km、ニュルンベルクの北95km。
  3.  ドナウ川沿いの町である。上流にはドナウヴェルト、下流にはレーゲンスブルクがある。
  4.  アウディの本社・工場・博物館がある
  5.  メアリー・シェリーの小説でフランケンシュタインはこの町で怪物を作った。

 この日のヴュルツブルグからローテンブルクまでの旅は、奇跡的にうまくいったのかもしれない。ただ、ワイカースハイムからローテンブルクまで路線バスは走っている。オン デマンドのバスもあるらしい。主に若い人対象の「地球の歩き方」のような案内書にはもう少し丁寧に書いてほしい。


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