ミュンヘン Munich 6月5日〜6日      地図(Map)

    
宿泊:Atlas City Hotel

【6月5日】

 本日の夜、ミュンヘンフィルの演奏会を聴けば全日程が終了する。インゴルシュタットのホテルを10時頃出発し、インゴルシュタット北駅からミュンヘンに向かう。駅のホームのベンチで本を読んでいた。気がつくとホームの反対側に列車が止まっている。島式のホームなので移動は簡単の思っていたのがとんでもない間違いで、ホームの真ん中に並んだベンチの間に切れ目がなく、見ている前で列車は出てしまった。30分ほどあとの各駅停車でミュンヘンに向かう。ニュルンベルグで働いているというブラジル人の青年と少し話した。ミュンヘンで開かれているロボット見本市を見に行くと言っていた。なるほど、これが宿泊料金高騰の原因なのだ。
 午後1時頃ミュンヘン着。ホテルに着いたのは早かったけれど、すぐ部屋に案内してくれた。狭い部屋で、机の上のランプのプラスチックの台は壊れかけている。部屋の鍵を壁の鍵穴に差し込まないと電気が供給されない仕組みになっているから、出かけている間に充電というわけにはいかない。トイレとシャワーが同じ空間というのは構わないが、シャワーとのあいだに仕切りがないので、シャワーを使ったらトイレの床は水浸しになりそうだ。(実際そうなった。)これで1泊2万円というのはいくら何でも高い。
 どこへ行こうか。もう一度科学博物館や美術館に行くことも考えたが、結局、イザール門近くのヴィクトアーリエンマルクトとレジデンツに行くことにした。
 ヴィクトアーリエンマルクトにはテント張りの八百屋、果物屋が並んでいた。ニュルンベルクでもそうだったが、今はホワイトアスパラガスの季節。どの八百屋にも積んであった。サクランボもシーズン。アメリカンチェリーのような紫色でなく、日本の佐藤錦とか紅秀峰のような色をしているが、少し大きめである。キノコ店にはアミガサダケが出ていた。乾燥したものもあったが、生のものもあった。パスタに入れるようだが、結構値段が張るようだった。

  【レジデンツ Residenz】
 入口には貝殻で作った人魚(?)の像があった。入口から入ってすぐの大広間アンティクヴァリウムに圧倒された。次々現れる部屋は皆豪華であった。ここでも壁面に鏡を埋め込んだ部屋があり、当時の貴族の鏡に対する偏愛を感じた。また、装飾に満たされた小さな聖堂もみごとだった。


 天井に描かれていたはずの絵がなく、黒く塗られている部屋がいくつかあった。第2次大戦で天井が落ち完全な修復が出来ないらしい。しかしヴュルツブルクでも書いたが、壁が残っているから修復も出来るので、日本のように完全に焼け落ちてしまったら修復も不可能である。もし日本の木造建築を当時の設計図に従って再建できたとして、それが世界遺産になることがあるだろうか。天井は落ちてしまい、壁面に被害があったとしても、壁が残っていたからこそ修復も出来、世界遺産にも登録されたのだろう。

【ミュンヘンフィル演奏会 Munich Philharmonic Orchestra conducted by Daniel Harding】
 今回の旅行の最終イヴェントである。同じ曲目での演奏会が6月4日にあるので、その切符を申し込んだら「この演奏会は青少年対象で、一般は5日か6日」と言われ、急遽帰国を一日延ばした。
 ダニエル・ハーディング指揮、ペーター・ツィンマーマンのヴァイオリンでドヴォルザークの「序曲オテロ」「ヴァイオリン協奏曲」そしてブラームスの「交響曲第4番」というプログラムである。会場はガスタイクの大ホール。今回の席はステージ正面よりは右側、前から10列目であった。もう少し中央よりであればいうことはないが、結構いい席であった。今日の目当てはブラームス。これまで、2番と3番の交響曲は実演でそれぞれ2回ほど耳にしているが、1番と4番には縁がなかった。1番はともかく、4番は実演で聴いてみたい曲であった。ドヴォルザークの「オテロ」は以前FMエアチェックしたクベリックの演奏で繰り返し聞いたことがある。この曲を含む序曲3部作では「謝肉祭」がことさら有名で、あとの2曲は少々影が薄い。ヴァイオリン協奏曲もそれほど演奏される曲ではない。(帰国後私のコレクションを調べたら、市販のCDにはなく、FMエアチェックに朝比奈隆指揮、豊嶋康のヴァイオリン、ベルリン放送交響楽団の演奏があった。)ドヴォルザークにはピアノ協奏曲もあるが、ドヴォルザークの協奏曲と言えばチェロ協奏曲が頭に浮かぶ。
 「オテロ」が始まる。何か音楽の中に入れない。どこか覚えのあるメロディーも出てくるが、「こんな曲だったっけ」といった感じ。続いて「ヴァイオリン協奏曲」。1楽章の出だしは勇壮で派手。これはと期待したが、あまり盛り上がっていかない。ツィンマーマンのヴァイオリンはいいのだけれど、盛り上がらないのは曲のせいか。今日はだめかもしれないと思い始めていたら、3楽章になって、私の体調と会い始めたのか、この民族舞踏風の楽章は結構楽しめた。でも、なぜあまり人気が出ないのか分かったような気がした。
 後半はブラームスの「交響曲第4番」。この曲はブラームスの中でも地味な音がすると思っていた。物の本に「古ぼけたオーケストラの音」というような表現をしているものもあったように思う。だがしかし、1楽章を締める金管の合奏は実演で聴くと大迫力で、オーケストラから浮き上がってくる。ティンパニーも響き渡る。すごい迫力だ。3楽章ではトライアングルの音がかすかなのに、きちんと聞き取れる。そして4楽章パッサカリア。生演奏の迫力を堪能した。前半のドヴォルザークでは今一歩音楽に入りきれなかったが、後半はすっかり音楽に取り込まれて、ブラームスの「交響曲第4番」の初体験を楽しんだ。
 10時頃音楽会が終わり、外に出たらまだ太陽の淡い光が西の空に残っているようだった。これで全てのイヴェントを終了し、あとは帰国するだけ。報告もこれで終わりにするつもりだが最後のまとめのページをつけておこう。


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